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灰と薔薇の夜想曲~灰の夜想曲~ 08


スーラと過ごした夜は今までのどんな夜よりも満たされ、幸福な時間となった。
バラの酒とつまみをご馳走になり、つまみで失敗したと慌てるスーラの意外な姿に微笑ましくなり。
いつも庭園に咲く美しい薔薇を見せてもらっているから、たまには俺も何か持っていってみようと思った。
俺の集める物達は不思議なことに、人の姿を持っているのだ。
何部屋か覗いてどれがいいかと考え、東洋の遊び道具…『独楽』を用意した。


「…こんな小洒落た所に俺で良かったのか?」
独楽がキョロキョロと庭園の中を見回す。薔薇というものを初めて見たらしい。
「というか、君だからいいかな、と思ったんだ」
「太っ腹だな?」
独楽がにやりと笑う。
ふと気配がして見回すと、不思議そうな顔をしたスーラが目に留まった。
「スーラ、遊びに来たよ。彼は…正体はこれだよ」
独楽を出し、スーラに見せる。
まじまじと自分を見るスーラに興味をもったらしく、
「へぇー、綺麗な人だな。ここの薔薇みたいな。初めまして。ここはいい場所だな」
スーラと庭園を見ながら声をかけていた。
穏やかな時間だ。いつのまにか、スーラと過ごすのが日常の風景となっていた。
そういえば、スーラはこの庭園から出ることは出来るのだろうか。
スーラといろいろなものを見てみたい。いろいろな場所に出てみたい。
そんな事を思いながら、二人の会話に加わった。


→屋敷の表に出る
→光差す庭園へ帰る